ザブングル加藤が語る「消防設備士」の真実!”笑い”と”防災”を両立させる意外な副業5年の舞台裏
「笑いの現場も、消防設備の現場も、『安全』が最優先なんです」
そう語るのは、お笑いコンビ「ザブングル」の加藤歩さん。テレビや舞台で人々を笑わせる傍ら、意外にも消防設備士として5年のキャリアを積んできた彼に、この異色の副業について話を聞いた。
「芸人」と「消防設備士」という一見ミスマッチな二足の草鞋
ご存知の方も多いかもしれないが、ザブングル加藤さんは5年前から「消防設備士」という国家資格を取得し、実際に現場で活動している。単なる資格取得ではなく、実務経験も積み重ねており、今年でその活動は5年目を迎えた。
「最初は『芸人が消防設備士?』って驚かれましたよ(笑)。でも考えてみれば、お客さんの安全を守るという意味では共通点もあるんです」
加藤さんによれば、消防設備士としての仕事は主に週2〜3日程度。芸人のスケジュールの合間を縫って、オフィスビルやマンションの消防設備点検を行っているという。
「ギャグを考えている時間と、消火器の点検をしている時間。全然違うはずなのに、不思議と相性がいいんですよね」
「消防設備士」とは何か?意外と知られていない防災の要
消防設備士とは、消防法に基づいて消防設備の工事や点検を行うことができる国家資格だ。具体的には、スプリンクラーや火災報知器、消火器などの設備を扱う専門家のことを指す。
消防設備士の具体的な仕事内容
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定期点検の実施
- 消火器、自動火災報知設備、スプリンクラーなどの動作確認
- 防火シャッター、非常用照明の機能チェック
- 消防用水や消火栓の水圧・水量確認
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不具合箇所の発見と修理
- 消防設備の作動不良や劣化の発見
- 簡易な修理や部品交換
- 大規模な修繕が必要な場合の報告書作成
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書類作成と報告
- 点検結果の記録と保管
- 消防署への報告書提出
- ビルオーナーや管理者への結果説明
加藤さんは特に甲種第1類(消火器)と第4類(自動火災報知設備)の資格を持ち、主にオフィスビルやマンションの点検を担当しているという。
「消火器って、みなさん見たことはあっても、実際に使い方を知っている人は少ないんです。僕も最初は『ピンを抜いて、レバーを握るだけでしょ?』くらいに思っていましたが、奥が深いですよ」
芸人から消防設備士へ:加藤さんを動かした意外な理由
では、なぜ加藤さんは数ある副業の中から「消防設備士」を選んだのだろうか?その理由は意外なものだった。
「正直に言うと、最初は『地味でカッコいい資格』を持ちたかったんです(笑)。でも勉強していくうちに、これって本当に大事な仕事だなって実感するようになりました」
加藤さんによれば、きっかけは2016年に起きた糸魚川市大規模火災だったという。147棟が焼失したこの火災は、彼に大きな衝撃を与えた。
「あの火災のニュースを見て、『火事って本当に怖いな』って思ったんです。お笑いの世界は不安定ですから、何か手に職をつけたいという思いもあって。そこで防災関係の資格を調べていたら、消防設備士に行き着きました」
資格取得の難易度と勉強法:「意外と理系的な試験です」
消防設備士の資格取得は決して容易ではない。特に甲種の合格率は30%前後と言われている。文系出身の加藤さんにとっても、大きな挑戦だったという。
「電気回路の知識とか、水力学の計算とか、正直『これ芸人に必要?』って思いましたよ(笑)。でも、意外とお笑いと勉強って似ているんです。『なぜ笑いが起きるのか』を論理的に考えるのと同じで、『なぜ火災報知器が作動するのか』を理解していく過程が楽しかった」
加藤さんの勉強法は至ってシンプルだ。
「朝の時間を使って、毎日2時間は勉強しました。テキストを読んで、過去問を解いて。特に電気回路は弱かったので、YouTubeで分かりやすい解説動画を探して繰り返し見ましたね」
勉強期間は約3ヶ月。笑いの才能だけでなく、地道な努力も加藤さんの強みだったようだ。
消防設備士の意外な魅力:「防災のプロとして人の命を守る責任感」
加藤さんが5年間続けてきた理由には、消防設備士という仕事の持つ独特の魅力がある。
「点検作業自体は地味です。でも、この仕事のおかげで助かる命があるかもしれない。そう思うと、すごくやりがいを感じるんです」
加藤さんが特に魅力だと感じるのは、以下の3点だという。
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“縁の下の力持ち”としての誇り 「誰も気づかないけど、みんなの安全を守っている。ヒーローみたいでしょ?」
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技術の習得による成長実感 「最初は先輩について回るだけでしたが、今では一人で点検できるようになりました。その成長が目に見えるのが嬉しいですね」
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多様な現場で得られる経験 「オフィスビル、マンション、工場…場所によって設備が全然違うんです。その多様性が面白い」
芸人との両立は可能?消防設備士の働き方と収入事情
多くの人が気になるのは、消防設備士としての収入面だろう。加藤さんは具体的な金額は明かさなかったものの、副業としての位置づけを説明してくれた。
「芸人の仕事は不定期なので、その合間を縫って週2〜3日働いています。1日の点検で2〜3万円くらいの収入になることが多いですね。安定した副収入として助かっています」
消防設備士としての年収は、働き方によって大きく変わる。正社員として働けば400〜600万円程度、フリーランスとして多くの現場をこなせば年収1000万円以上稼ぐ人もいるという。
「僕の場合は副業なので、年間で100万円前後です。でも芸人の仕事が少ない時期の支えになっていますし、何より『手に職』があるという安心感が大きいですね」
意外な相乗効果:「お笑いと消防設備の共通点」
5年間両方の仕事を続けてきた加藤さんは、お笑いと消防設備士の間に意外な共通点があると語る。
「どちらも『異常を見つける目』が大事なんです。お笑いは『あれ、ここおかしいぞ』というズレを見つけて笑いにする。消防設備も『あれ、この機器の動き方がおかしいぞ』という異常を見つける。その感覚がすごく似ているんです」
また、コミュニケーション能力も両方の世界で役立っているという。
「点検のため訪問すると、オフィスで働く人たちの邪魔になることもあります。そこで『すみません、ちょっとだけ点検させてください』と笑顔でお願いすると、芸人だとわかって『あ、ザブングルの方ですよね』と話が弾むことも。そうするとスムーズに作業ができるんです」
知られざる消防設備士の世界:加藤さんが見た現場の実態
加藤さんが5年間の活動で見てきた消防設備の現場には、一般の人が知らない実態がある。
「驚くことに、消防設備って意外とメンテナンスされていないことが多いんです。特に古いビルだと、設置したまま長年点検していないケースもある。そういう現場に行くと、『この建物、大丈夫かな』と心配になります」
また、防災意識の低さも気になるポイントだという。
「避難経路に物が置かれていたり、消火器が埃をかぶっていたり。『いざという時に使えないじゃないか』と思うことがよくあります。特に最近は防災意識が高まっているはずなのに、実態は伴っていないことが多い」
消防設備士を目指す人へのアドバイス:「地味だけど、誇れる仕事です」
最後に加藤さんは、消防設備士に興味を持つ人へのアドバイスを語ってくれた。
「まず知っておいてほしいのは、この仕事は地味だということ(笑)。でも、その地味さの中に確かな誇りがあります。人の命を守る仕事ですからね」
資格取得を考えている人には、実務経験の重要性を強調する。
「試験に合格するだけなら、集中して勉強すれば数ヶ月で可能です。でも実際の現場では、教科書通りにいかないことばかり。先輩についていく経験が本当に大事。そこで初めて『消防設備士』として成長できるんです」
また、消防設備士は今後も需要が高まる資格だと加藤さんは見ている。
「建物がある限り、消防設備は必要です。しかも高齢化で業界の人手不足は深刻。若い人が入ってくれば、活躍の場はたくさんありますよ」
防災と笑いを届ける使命:加藤さんの今後の展望
5年間の活動を経て、加藤さんには新たな夢が生まれたという。
「いつか『防災×お笑い』の企画をやりたいんです。例えば『消火器の使い方』を面白く伝える防災イベントとか。笑いながら防災知識が身につくような。それが実現できたら、僕の二つの仕事が見事に融合しますよね」
加藤さんの表情は真剣だ。
「芸人として笑いを届けること、消防設備士として安全を守ること。どちらも人のためになる仕事だと思っています。これからもどちらも真剣に取り組んでいきたいですね」
今後もザブングル加藤さんの活躍から目が離せない。舞台で笑いを届けると同時に、縁の下の力持ちとして私たちの安全を支える彼の姿には、プロフェッショナルの誇りが光っている。
【消防設備士になるための基本情報】
資格の種類:
- 甲種(第1類〜第5類):設計・工事・整備・点検すべてが可能
- 乙種(第1類〜第7類):整備・点検のみ可能
費用目安:
- 受験料:約5,000円〜6,500円
- 講習費用:2万円〜5万円程度(独学も可能)
学習期間:
- 独学の場合:2〜3ヶ月程度
- 講習受講の場合:1〜2ヶ月程度
年収目安:
- 正社員:400万円〜600万円
- フリーランス(経験者):600万円〜1,000万円以上
求人状況: 高齢化による人手不足で求人は増加傾向。特に経験者は重宝される。

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